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アメリカ不動産の固定資産税とは?カリフォルニア・テキサスの違いと注意点

アメリカ不動産投資では、物件価格や家賃だけでなく、保有中に発生する費用を正しく把握することが重要です。その中でも、投資収支に大きな影響を与える費用のひとつが固定資産税(Property Tax)です。

アメリカの固定資産税は、日本のように全国で同じ考え方が適用されるわけではなく、州やCounty(郡)、City(市)、School Districtなどによって税率や評価方法が異なります。特に日本人投資家にも人気のTexasでは、購入前に確認した固定資産税をそのまま将来の税額として収支計算すると、購入後に想定していたNOI(Net Operating Income)を確保できなくなるケースがあります。

一方、CaliforniaはProposition 13によって購入後の課税評価額の動きを比較的予測しやすく、Texasとは固定資産税のリスクの性質が異なります。

本記事ではCaliforniaとTexasを中心に、アメリカ不動産の固定資産税の仕組み、NOIへの影響、評価額への異議申立て、さらにCredi Techが取り扱う主要エリアの制度まで解説します。

1.アメリカ不動産の固定資産税(Property Tax)とは?

アメリカのProperty Taxは、不動産を所有していることに対して課税される地方税です。ただし、州が一律の固定資産税率を設定しているわけではなく、物件所在地のCounty、City、School Districtなど複数の課税主体によって税負担が決まる場合があります。

基本的な考え方は、課税対象となる不動産評価額に適用される税率を掛けてProperty Taxを算出するというものです。

課税対象となる不動産評価額 × 適用される税率 = Property Tax

しかし、アメリカ不動産投資で重要なのは単純な「税率の高さ」だけではありません。その不動産がどのように評価されるのか、購入後に評価額がどの程度変わる可能性があるのかまで理解しておく必要があります。

Property Taxは不動産の運営費用です。固定資産税が想定以上に増加すればNOIは低下し、投資物件のCap Rate(キャップレート)にも影響します。

そのため、アメリカ不動産を購入するときは「現在のProperty Taxはいくらか」だけではなく、購入後のProperty Taxがいくらになる可能性があるのかまで含めて収支をシミュレーションすることが重要です。

2.CaliforniaとTexasでは固定資産税の考え方が大きく異なる

Californiaは購入後の固定資産税を比較的予測しやすい

CaliforniaのProperty Taxを理解するうえで重要なのがProposition 13(プロポジション13)です。

Californiaでは、原則として不動産の所有権が移転すると、その時点のFair Market Valueを基準として新しいBase Year Valueが設定されます。その後、Base Year Valueの年間上昇は原則として最大2%に制限されます。ただし、新築・増築、一定の所有権変更、市場価格がBase Year Valueを下回る場合などには別の評価ルールが適用されることがあります。

この仕組みにより、購入時点で取得価格を基準としてProperty Taxを試算しておけば、その後の税負担を比較的予測しやすいのがCaliforniaの特徴です。

CaliforniaでもSellerの現在の税額をそのまま使わない

注意したいのは、Sellerが現在支払っているProperty Taxと、Buyerが購入後に支払うProperty Taxが同じとは限らないことです。

例えばSellerがかなり以前に低い価格で購入した物件では、Proposition 13によって現在の課税評価額が市場価格より大幅に低くなっていることがあります。その物件を現在の市場価格で購入すれば、原則として所有権移転時に再評価されるため、BuyerのProperty TaxはSellerの税額より高くなる可能性があります。

したがってCaliforniaでも、購入前にはSellerの現在のProperty Taxではなく、自分の購入価格を基準に税額を試算することが重要です。

Texasは購入後の評価額上昇によるNOI低下に注意

TexasのProperty TaxはCaliforniaとは考え方が大きく異なります。Texasでは、原則として1月1日時点のMarket Valueを基準に各CountyのAppraisal Districtが不動産を評価します。

TexasではCaliforniaのProposition 13のように、一般的な投資用不動産について購入後の課税評価額の上昇を恒久的に年2%以内に抑える制度ではありません。そのため、既存の評価額と現在の市場価値に乖離がある物件では、購入後の評価によってProperty Taxが想定以上に増加するリスクがあります。

ここで注意したいのが、税務上のProperty Appraisalと、売買や融資などで行われるAppraisal(アプレイザル)は必ずしも同じものではないという点です。TexasのProperty Taxでは、各Appraisal Districtが税務目的で物件価値を評価します。

Texasでは現在のProperty TaxだけでNOIを計算しない

例えば、50万ドルで購入する物件の既存評価額が25万ドルで、現在のProperty Taxが年間5,000ドルだったとします。

購入後の評価によって課税の基礎となる評価額が45万ドル程度まで上昇し、仮に同程度の実効税率が適用された場合、Property Taxが年間約9,000ドルになる可能性があります。

購入前に年間5,000ドルのProperty Taxとして計算していれば、年間運営費は4,000ドル増加します。

仮に購入前のNOIが30,000ドルだった場合、

NOI 30,000ドル → 26,000ドル

となります。

購入価格が50万ドルなら、単純計算したCap Rateも、

6.0% → 5.2%

まで低下します。

これがTexas不動産ではProperty Taxを購入前のUnderwritingに慎重に織り込む必要がある理由です。

Texasは「売買すると自動的に購入価格へ再評価」ではない

ただし、Texasでは不動産を売買したからといって、Californiaのように購入価格へ機械的に再評価される制度ではありません。

TexasではMarket Valueを基準として税務評価が行われるため、売買前の評価額と実際の市場価格に大きな乖離がある物件では、その後の評価額が上昇する可能性があります。

したがってTexas不動産では、

「Sellerが現在いくらProperty Taxを払っているか」ではなく、「購入後に評価額が現在の市場価値へ近づいた場合、Property Taxはいくらになる可能性があるか」

というストレスをかけた収支計算が重要です。

3.固定資産税の評価額には異議申立てができる

Property Taxの評価額に納得できない場合、アメリカでは所定の手続きによって異議申立てができる場合があります。

これはTexasだけの制度ではありません。California、Texas、Washington、Arizona、New York、Hawaiiなど、Credi Techが取り扱っている主要エリアにも評価額への異議申立て制度があります。

Credi Tech主要取扱エリアの固定資産税評価・異議申立て制度

エリア 固定資産税評価の特徴 異議申立て 主な制度・窓口 投資家が注意するポイント
California 取得時に原則Base Year Valueを設定。その後のBase Year Value上昇は原則年2%以内 Assessment Appeal / Assessment Appeals Board等 Sellerの税額ではなく、購入価格を基準に購入後の税額を試算
Texas 原則Market Valueを基準にAppraisal Districtが評価 Property Tax Protest / Appraisal Review Board(ARB) 購入後の評価額上昇を想定してNOIを試算
Washington County AssessorがFair Market Valueを評価 County Board of Equalization Change of Value Noticeなどを確認
Arizona County Assessorが評価 County Assessor → Board of Equalization等 Notice of Valueと申立期限を確認
New York 自治体等がAssessmentを実施 Grievance / Board of Assessment Review等 地域によって制度・期限が異なる
Hawaii / Honolulu Real Property Assessment Divisionが評価 Board of Review Assessed Value・Classification等を確認

※制度、評価方法、申立期限などは州・County・City・物件種別等によって異なります。実際の申請時には対象物件所在地の最新情報をご確認ください。

TexasのProperty Tax Protest

Texasでは、Appraisal Districtから通知された評価額やその他の評価事項に異議がある場合、Appraisal Review Board(ARB)へProtestを申し立てることができます。

一般的なProtest期限は、原則として5月15日またはNotice of Appraised Valueが送付された日から30日後のいずれか遅い日です。ただし、物件や事情によって異なる場合があるため、実際には対象Appraisal Districtの最新情報を確認する必要があります。

重要なのは、Property Taxの請求書が届いてから初めて確認するのではなく、毎年の評価通知を確認することです。

前年から評価額が大きく上昇していないか、周辺のComparable Propertyや市場価格と比較して妥当かを確認し、必要であれば期限内にProtestを検討します。

CaliforniaにもAssessment Appealがある

CaliforniaでもCounty Assessorの評価額に異議がある場合、Assessment Appealを行うことができます。

例えばLos Angeles CountyにはAssessment Appeals Boardがあり、所定の申請期間内で評価額へのAppealが可能です。Californiaでも、評価額が市場価値を適切に反映していないと考えられる場合には異議申立てを検討できます。

つまり、

California=固定資産税を下げられない
Texas=Property Tax Protestができる

ということではありません。

州やCountyによって名称、期限、提出方法は異なりますが、評価額に合理的な疑問がある場合には、それぞれの制度に従ってAppealやProtestを行うことができます。

Washington・Arizona・New York・Hawaiiにも制度がある

WashingtonではCounty Board of EqualizationへのAppeal、ArizonaではCounty Assessor等へのAppeal、New YorkではAssessmentに対するGrievance、HonoluluではBoard of ReviewへのAppealといった制度があります。

ArizonaのReal PropertyではNotice of Valueに対するCounty AssessorへのAppealは原則60日以内、Honoluluでは通常のAssessment Appealについて1月15日が期限とされています。一方、New YorkやWashingtonでは地域や通知時期などによって期限が異なるため、物件所在地ごとの確認が欠かせません。

「税額が上がったら対応する」のではなく、評価通知が届いた段階で毎年内容を確認することが重要です。

4.Property Taxは購入前と保有中の両方で管理する

Property Taxは、アメリカ不動産の収益性を左右する重要な運営費用です。

特に日本人投資家の場合、物件価格、家賃、ローン金利には注意していても、購入後のProperty Taxの変動まで十分に織り込まずに収支計算しているケースがあります。

購入前に確認するポイント

購入前には現在のProperty Taxだけではなく、現在の評価額、購入価格、購入後に想定される評価額、物件所在地の税率・課税主体などを確認します。

特にTexasでは、Sellerの現在のProperty Taxをそのまま将来のProperty TaxとしてNOIに使用することは避けるべきです。

CaliforniaでもSellerが長期間保有している場合には現在のProperty Taxが大幅に低くなっている可能性があるため、自分の購入価格を基準に税額を試算します。

購入後は毎年評価額を確認する

Property Taxは購入したら終わりではありません。毎年の評価通知やTax Billを確認し、市場価格や周辺物件と比較して評価額の妥当性を検証します。

必要であればAssessment AppealやProperty Tax Protestを検討することも、不動産の収益を維持するための重要な業務です。

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Property Taxの管理は、単なる「税金を安くする作業」ではありません。NOIを維持し、物件の収益性を守るためのAsset Management(AM)の一部と考えるべきです。

5.まとめ|固定資産税まで管理して初めてアメリカ不動産投資

アメリカの固定資産税は、州やCountyによって評価方法や税率、異議申立て制度が大きく異なります。

CaliforniaではProposition 13によって購入後のBase Year Valueの上昇を比較的予測しやすい一方、購入時には原則として現在の市場価値へ再評価されるため、Sellerの税額をそのまま使ってはいけません。

TexasではMarket Valueを基準に評価されるため、既存評価額と現在の市場価値に乖離がある物件では、購入後の評価額上昇によってProperty Taxが増え、NOIが想定を下回るリスクがあります。

そのため、アメリカ不動産投資では表面的な税率だけで「Californiaは安い」「Texasは高い」と判断するのではなく、評価方法、購入後の変動リスク、異議申立て制度まで含めて投資収支を考えることが重要です。

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Credi Techでは、アメリカ不動産の購入・売却だけでなく、購入後の収支管理、現地PM会社との調整、Property Taxを含む継続的なAsset Managementをサポートしています。

アメリカ不動産の購入後の管理や、保有物件の収支・固定資産税についてお困りの場合は、お気軽にご相談ください。

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