本記事では「アメリカ不動産投資に関わる税務と税金」について解説します。海外不動産投資をすると、日本のみならず、投資をした国での納税が必要になります。当然、日本とは異なる税金のルールがあります。税金は海外不動産投資の投資効果に大きな影響を与えます。不動産投資としては成功しても、税金を加味すると結局損をしているということもあり得ます。海外不動産投資の中でも多くの日本人投資家が不動産オーナーとなっているアメリカ不動産に関わる税務と税金について解説します。
アメリカ不動産オーナーになったら・・・
アメリカ不動産のオーナーとなり、アメリカ不動産賃貸管理をはじめたら、アメリカで収入が発生するため、毎年IRSに税務申告をしなければなりません。
IRSへの税務申告で必要なのが、CPAとの契約とITIN(Individual Taxpayer’s Identification Number)の取得です。
アメリカ不動産収支報告書をもとに、毎年IRSに税務申告をしましょう。
アメリカの所得税は、アメリカ合衆国に支払うアメリカ連邦税と不動産が所在する州に支払う州税に分けられます。
アメリカ連邦税は累進課税制度となっており、最低10%~最高37%の税率が課せられます。
州税はアメリカの州によって違い、比較的州税が高いといわれる州が、ニューヨークやカリフォルニアなどの経済発展している州です。
一方、州税が掛からない州もあります。
いま多くの日本人がアメリカ不動産投資をしているテキサス州やシアトルのあるワシントン州は州税が課せられません。
州税が課せられないということで、人口流入や企業誘致に成功しています。
少しでも納税したくない方であればこの2州をオススメします。
アメリカの確定申告時期は日本よりも余裕があります。
一般的には1月~12月の確定申告を6月末までに確定申告をするというルールですが、外国人には期限の延長が認められています。
延長の届け出をすれば、最長10月末日までの確定申告で問題ありません。
日本の確定申告だと「早めに出した方が良い」というイメージがありますが、アメリカは逆で、遅ければ遅いほど税務調査に引っ掛かりずらいという現実があります。
CPAに相談の上、延長を申請しぎりぎりに税務申告をすることをオススメします。
アメリカ不動産賃貸管理中の税務処理
日本の確定申告とアメリカの確定申告の税務処理の仕方には違いがあります。
特に大きな違いについて解説します。
①不動産の減価償却期間
日本不動産の減価償却のルールは、築年数や構造によって違いがありますが、アメリカ不動産減価償却のルールは、築年数に関わらず居住用不動産であれば、27.5年で償却をするというルールです。
また、日本の不動産業者に支払ったコンサルティング費用も日本と同様不動産取得価格に計上し、同じく27.5年で償却することになります。
②無期限の繰り越し損失
日本では繰り越し損失の期限は3年とされていますが、アメリカでは無期限に損失を繰り越すことができます。一般的には短期間の運用期間中はこの繰り越し損失により利益は出ず、アメリカへの納税は発生しないことが多いです。
③接待交際費は費用にならない!?
日本では接待交際費が費用として認められ、特に個人事業主の場合、接待交際費に制限がなく、多くの方が接待交際費を費用として計上しているでしょう。
アメリカの接待交際費は、「Meals and Entertainment」という勘定科目になりますが接待交際費は経費として認められません。
FIRPTAには要注意!アメリカ不動産を売るときの税金
日本人オーナーをはじめとした外国人オーナーがアメリカ不動産を売るときにはFIRPTAに気を付けなければなりません。
不動産売却額の15%が源泉税として拘束されます。
納税義務者がエスクローとなっているため、不動産の決済の中で源泉税が精算され、IRSや一部の州の納税準備金として留保されます。
アメリカ不動産を売ったときの確定申告を終え、アメリカでのキャピタルゲイン税を差し引いた金額が還付される仕組みです。
日本人オーナーがアメリカ不動産を売ったときには15%の資金は当分留保されるということを覚えておいてください。
明らかにアメリカ不動産でキャピタルロスが発生した場合はFIRPTAを回避することも可能です。
アメリカ不動産を売るときに、取引が開始され次第にエスクローに対し、譲渡益は出ないということが証明、承認されれば源泉税を回避することができます。
FIRPTA回避の手続きをしていれば、承認がされていなくてもエスクロー内で納税準備金は留保され、承認後に速やかに売主のもとに納税準備金は還付されます。
IRSや州にFIRPTAを留保されるのとエスクローに留保されるのでは大きな違いがあり、留保期間、還付される時期に大きな違いがあります。
もし売主が譲渡税を支払わなかった場合、譲渡税の納税が買主に課されるため、買主としては嫌がりますが、売買金額の15%の資金は非常に大きいので不動産会社を通じてエスクローに交渉して、できればFIRPTA回避をされることをおすすめします。
日本のアメリカ不動産販売会社やブローカー、エージェントは知識がないため、アメリカ不動産を買うときにFIRPTAの説明をしていることはほとんどありません。
また、売るときにも説明がなく、FIRPTAの納税準備金が留保されるケースもよく見受けます。
CPAから説明を受け心の準備をする、必要であればFIRPTA回避の手続きをしましょう。
日本で必要な外国税額控除
アメリカでの税務申告と納税を終えた後、もちろん日本でも日本の税法に則って不動産賃貸収益や譲渡益に対して確定申告と納税が必要です。
アメリカで納税して、日本でも納税するとなると二重に税金を支払うことになり、違和感を感じるでしょう。
アメリカと日本は租税条約を締結しており、二重課税にはなりません。
二重課税を防止するため、外国税額控除という制度があります。
アメリカで納税をした証拠となる書類を日本で確定申告すると、アメリカに納税した金額を控除することができます。
逆に日本で納税した証拠となる書類をアメリカで確定申告すると、日本で納税した金額を控除することができます。
一般的には日本の確定申告期限の方が早いため、日本での納税分をアメリカで控除されることが多いです。
そのためアメリカでの納税はあまり発生しないケースがほとんどです。
外国税額控除を伴った計算は非常に複雑なため、日本の税理士とCPAに算出を依頼しましょう。
まとめ
アメリカ不動産投資の税務や税金に、税理士やCPAの力は必ず必要です。
アメリカと日本でそれぞれ確定申告が必要なため、日本の税理士とCPAには連携してもらいましょう。
アメリカと日本の確定申告の数字にミスマッチが生じて後々トラブルになることもあります。
アメリカと日本の確定申告に差異がでないように、できれば日本で税理士資格、CPA資格を取得されている専門家に依頼することをオススメします。
アメリカでも日本でも税務調査がはいることは避けたいはずです。
特にアメリカの税務調査の場合、最悪IRSからの呼び出しがあり、渡米しないといけないケースもありますので、どちらの国でもしっかりと確定申告をしましょう。
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