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コストセグリゲーションによる節税効果を徹底解剖!アメリカ不動産で流行るワケ

本記事では「コストセグリゲーションが流行ったワケと本当の効果」について解説します。
税制改正により海外不動産を活用した個人の節税対策が封じられたいまあらたな節税対策としてコストセグリゲーションがにわかに注目されつつあります。もともとはアメリカの不動産オーナー向けの税制優遇制度でしたが、日本でも節税になるとのことでコストセグリゲーションが取沙汰されています。
今回はコストセグリゲーションが流行ったワケとコストセグリゲーションの節税効果について解説します。

1.コストセグリゲーションがなぜ節税になるのか?

コストセグリゲーションとは、不動産に含まれる動産と不動産の建物部分の価値を切り分けることをいいます。日本語では資産の再分類と訳されます。コストセグリゲーションという考え方自体は日本の税務当局も推奨しており、動産と不動産の価値を切り分けて実態に合わせた減価償却をしていくのが正しい会計処理です。ただこの会計処理は面倒なため、いまでは不動産に含まれる動産も不動産と合わせて減価償却をしていくのが慣例となっていますが、あくまでも特例の会計処理だということを覚えておきましょう。

不動産に含まれる動産はたくさんあります。例えば、家具家電、設備、消耗品などありとあらゆるものが不動産の中に含まれています。それぞれに耐用年数があり、耐用年数に合わせて減価償却をしていく必要があります。動産の耐用年数は不動産の耐用年数よりも短いので、動産を含んだ不動産の減価償却費と価値を切り分けた減価償却では価値を切り分けた方が単年の減価償却費が多くなります。減価償却費を費用として計上することで、一般的な不動産による節税よりも効果が高いというワケです。

2.コストセグリゲーションがアメリカと日本で流行るワケ

そもそもコストセグリゲーションはアメリカで流行っています。この要因はアメリカの経済対策の一環として、不動産投資を活発にするために不動産の税制優遇をしたことからはじまっています。アメリカでは築年数に関わらず、木造住宅であれば27.5年で減価償却をするというのがルールです。不動産の税制優遇の内容は、コストセグリゲーションをして不動産に含まれる動産の中で20年以下の耐用年数の動産は一括償却ができるという内容です。節税効果は単年でしかありませんが、節税できた資金をもとに不動産への再投資を促したワケです。この税制優遇のお陰でアメリカの不動産オーナーはこぞってコストセグリゲーションをして、税制優遇を受けました。不動産への再投資も増加し、アメリカ不動産の価格が上がる一助になりました。

日本人のアメリカ不動産オーナーはこの税制優遇にまったく目を向けませんでした。その要因は、耐用年数を超えた木造住宅については簡便法により4年で減価償却ができたためです。コストセグリゲーションよりも節税効果が高かったため、見向きのしなかったのです。
いまなぜコストセグリゲーションが日本人投資家や日本人のアメリカ不動産オーナーの注目の的になっているかというと、税制改正により海外不動産で簡便法で算出をした不動産に限り、損益通算ができなくなったためです。耐用年数に合わせた減価償却であれば節税効果が生まれるため、コストセグリゲーションを活用して少しでも節税をしたい日本人投資家や日本人のアメリカ不動産オーナーが注目をしているワケです。

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3.コストセグリゲーションの本当の節税効果と節税効果の高い不動産の条件

コストセグリゲーションによる日本人投資家にとっての本当の効果はどれくらいあるのでしょうか。コストセグリゲーションは減価償却を前倒しにしているため、実は長期的に見ると節税効果はありません。動産の耐用年数である5~7年の間のみの限定的な節税効果しかないのです。節税効果としては、再分類する前の減価償却費と再分類をした後の減価償却費を比較すると、再分類をした方が40%前後減価償却費が増えます。つまり、コストセグリゲーションの節税効果は短中期である5~7年の間であれば、40%前後減価償却費が増えるため節税ができるということです。

税制改正前までの短期償却ができる不動産とコストセグリゲーションで節税効果の高い不動産ではまったく条件が違います。税制改正前までの短期償却ができる不動産は築古の不動産でなければなりませんでしたが、コストセグリゲーションで節税効果の高い不動産は、価値が残っていなければならないため、家具家電、設備などの動産の価値が残っている築浅の不動産でなければなりません。また、コンドミニアムの場合専有部の動産が少ないため、コストセグリゲーションの節税効果が低くなります。コストセグリゲーションをするのであれば、一戸建てや1棟収益不動産が向いています。特に1棟収益不動産であれば共用部の動産も減価償却ができるため、コストセグリゲーションによる節税効果がさらに高くなります。

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4.コストセグリゲーションを活用する注意点

アメリカ不動産によりコストセグリゲーションを活用して節税をするのであれば、築浅の1棟収益不動産か一戸建てが向いています。コストセグリゲーションを活用するにあたり、注意点を解説します。

4-1.途中からコストセグリゲーションによる会計処理は不可

一度確定申告をしているのであれば、途中からコストセグリゲーションによる会計処理はできません。コストセグリゲーションを活用するのであれば、不動産の購入年から会計処理をしなければなりません。以前節税目的で購入したアメリカ不動産オーナーは対象とはならないのでお気をつけください。

4-2.日本の税法の基づいた会計処理

アメリカ不動産のコストセグリゲーションでは専門業者からレポートを取得しますが、レポートの中にはアメリカの耐用年数が記載されていることがあります。レポートの家具家電、設備などの動産を日本の耐用年数に合わせて会計処理をする必要があります。アメリカの耐用年数のまま勘違いをする可能性がありますのでお気をつけください。

4-3.コストセグリゲーションのレポート取得費と取得時期

コストセグリゲーションは専門業者からレポートを取得しますが、レポート取得には時間を要します。アメリカ不動産の購入前にどのくらいの減価償却ができるかが確認できないため、コストセグリゲーションを投資判断とすることはできません。また、コストセグリゲーションのレポート取得は、不動産の大きさにもよりますが$300~$1,000程度です。インスペクションと変わらない費用でコストセグリゲーションのレポートが受けられます。日本のアメリカ不動産会社の中には法外な報酬を請求する不動産会社もあるのでお気をつけください。

5.まとめ

税制改正により少しでも節税効果を得たい日本人投資家や日本人のアメリカ不動産オーナーに見直されたコストセグリゲーションですが、その節税効果は限定的です。コストセグリゲーションを活用して節税効果を得たいのであれば、不動産投資をする対象を吟味しなければなりません。コストセグリゲーションを目的としてコンドミニアムに不動産投資をするのは本末転倒です。

コストセグリゲーションでの節税を試みる前に税理士、会計士などの専門士業に相談することをオススメします。減価償却をする対象である家具家電、設備などの動産の耐用年数の確認、経過年数の算出など会計処理について事前に相談することで、どのくらいの節税効果が生まれるかをイメージすることができるでしょう。

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