アメリカ エリア別海外不動産 売却 時事・市況情報 海外不動産ノウハウ

いま、アメリカ不動産が売れない理由・金利上昇が不動産市況に与える影響とは?

本記事では、「アメリカ不動産がいま売却できない理由」について解説します。多くの日本人アメリカ不動産投資オーナーが2023〜2025年にかけて売却を希望されているのではないでしょうか。また、すでに現在、売却希望のオファーを入れられている方も多いでしょう。しかし、思ったように売却価格が伸びない、うまく売却できない、といったようなオーナーもたくさんいらっしゃいます。大きな原因は、アメリカ金利の上昇です。住宅ローン金利が上昇していてローカルがなかなか購入することができないという背景から売却がすすまないのが原因です。今回は、この金利上昇と不動産取引の相関関係を中心に、アメリカ不動産の現況について解説します。

日本人アメリカ不動産オーナーの期待とアメリカ不動産市況のギャップ

現在、アメリカ不動産を取り巻く状況として、ローンの金利水準が20年来の最高値を更新しています。アメリカ不動産オーナーの方は、円安の今が売却時期として非常に良い、と考えている方も多いはずです。しかし、現在は歴史的なインフレによって住宅価格も上昇しており、過去最高値を叩き出している状況です。

また、現在、歴史的な円安に見舞われています。1ドル145円を超えており、当然、不動産の価格も上がっています。円安下においては、不動産のキャピタルゲインに加え、為替のキャピタルゲインまで加わるといったイメージで、利益を得るという意味では期待できるタイミングと言えます。

しかし、売却利益が出る状況にあるとはいえ、なかなか売れず、売却のオファーをされている方も多いのはなぜでしょうか。思い通りの価格で販売できなかったり、そもそもオファーが入らなかったりといったような状況に陥っています。

その理由を紐解くため、アメリカの住宅ローン(30年)を指標としてみていきましょう。

現時点で金利は7%を超える状況です。リーマンショック以降は、景気を刺激するためにどんどん金利を下げていきましたが、そのあと、インフレ抑制のために金利を上げていったという流れです。リーマンショックの後はある程度の期間、金利は非常に低い水準でしたが、直近の2年で金利が急上昇しました。

 

それでは、金利の上昇でどういった影響があるのか、という点については、アメリカ不動産の年間取引量を見ていくとわかります。

リーマンショックと同じくらいの取引量しかないことがわかります。

不動産の取引という意味で言うと活発ではない状況ですが、当然、この住宅ローン金利と不動産の取引量には相関関係があります。金利が安い方が不動産を買いやすく、金利が高ければ不動産を買いにくくなるということが明確です。

売却しづらい理由は、まさに住宅ローン金利が高い水準にあることが原因といえます。

 

今アメリカは記録的なインフレの最中にあり、そのインフレを抑制するために金利上昇に踏み切った結果、住宅ローンが高騰し、不動産の取引量が激減したということです。

リーマンショックのような不景気になり、お金がないために不動産取引がされていないという状況ではなく、好景気でお金が余っているのにも関わらず、不動産取引が活発ではないという、少し歪な状況にあります。

 

アメリカ人にとって賃貸と購入はどっちがお得?

ここからは、今、アメリカ不動産を購入する方が良いのか、賃貸する方が良いのか、という観点で解説します。一つの事例として、ロサンゼルスのマリーナ・デル・レイにあるコンドミニアムを例に解説します。

こちらの物件は、2ベッド2バスルームのコンドミニアムです。

現在の不動産価格は1.3ミリオン、日本円にすると1億5000万〜1億6000万です。こちらの物件の賃料は、4,725ドル、つまり、50万強の賃料が得られている物件です。

 

例えば、この物件を住宅ローン金利7.23%で借りるとすると、30年元利均等で返済した場合、月々の返済は8,850ドルになるため、フルローンで買うよりも圧倒的に賃貸で借りた方が安く住宅を確保できます。仮に、この返済額を賃料と同じ水準にしようと思うと、自己資金が50%必要になります。自己資金50%で30年元利均等で返済した場合が4,425ドルです。フルローンで買うなら圧倒的に賃貸の方が得ということが言えます。同じくらいの返済額で済まそうと思うと、自己資金が50%ある人しか購入できないということになります。

日本では、自宅を購入するときに少しでも頭金を減らしたいと考えるのが一般的です。10〜20%の自己資金を入れて残りはローンを借りるという方が非常に多いケースです。

これはどの国でも同じことが言え、アメリカ人であっても、自国の不動産を買う場合、ローンを借りてから住宅環境を確保した方がいいというふうに考える方が一般的です。

つまり、50%の自己資金を入れてまで家を購入したいという人は少ないと言えます。

アメリカのインフレによって金利上昇したために住宅ローンが高騰して取引量が激減しているという歪な状況下にあるため、賃貸か購入か、という意味でいうと、住宅ローン返済よりも賃料が高くなりやすいため賃貸の方がいい、という結論になります。

アメリカ人投資家にとって不動産投資は得か?

続いて、同じ物件で投資家の目線で考えてみましょう。

こちらの物件の不動産価格は1.3ミリオンです。投資利回りが約3%(目安)、住宅の金利が7.23%です。

投資家であればキャピタルゲイン、インカムゲインを狙いますが、返済額に関しては利回りから返済したい、というふうに考える投資家の方が多いと思います。そういった場合は、投資利回りも金利が上回る水準であることで、ローン割合が高ければ高いほどキャッシュアウトが発生するといった理由で、投資家としてもなかなか買いづらい状況にあると言えます。

利回りで全部を返済しようとすると自己資金が50〜60%必要になりますが、投資家の方は資金効率、投資効率を上げたいため、自己資金はできるだけ少なくしたいと考えるのではないでしょうか。

さらにローン返済と利回りを比較すると、利回りの方が低くなってしまうので投資効果が薄いという結論になります。さらに、資金や投資効率が非常に悪くなっているために、売れないという状況が発生していると言えます。

この住宅ローン金利がある程度落ち着かなければ、不動産の売買取引は、増えていかないでしょう。

まとめ

本記事では「アメリカ不動産がいま返却できない理由」について解説しました。今アメリカの金利が高い状態のため、需要と供給のバランスが崩れて不動産の取引がなかなか進まないというようなことが理解できたでしょうか。売却を希望されているオーナーさんの中で円安のタイミングを狙って売りたい、という方も多くいらっしゃいますが、現段階で売却するのは困難なケースもあります。為替益を優先するのか、売買価格を優先するのかの判断をしなければなりません。

今、不動産の取引量が少ないため、売却を強く希望されるのであれば、売買価格を低く設定する必要があります。通常のアメリカ不動産の取引に戻るにはまだ半年から1年ぐらいかかるでしょう。

お問い合わせはこちら

 

あわせてこちらの動画をご覧ください!

不動産会社は教えてくれない
海外不動産のホントのトコロYouTube版

記事では書ききれないリアルを発信中!

個別に相談したい方はこちら!