本記事では「タイ不動産のまとめ」について解説します。
タイ・バンコクは東南アジアの中で海外旅行先としても不動産投資先としても大人気です。 日本人にとって親近感があり馴染みのあるタイですが、タイ不動産投資という意味では本当に儲かるのでしょうか。タイの不動産価格は過去10年で2倍になってしまっています。今回はこれからタイ不動産投資をしても本当に儲かるのか、タイ不動産について詳細に解説します。
1.タイ不動産が日本人投資家に人気のワケ
日本人にとってタイ・バンコクは東南アジアの中で海外旅行先としても不動産投資としても人気がありますが、日本人にタイ・バンコクがなぜ人気があるのかを紐解きます。
1-1.タイへの親近感
東南アジア全般に言えますが、日本から近いことが挙げられます。LCCであれば数万円でタイに行くことができ、何より時差が1時間しかありません。日本人駐在員の数もアメリカ・ロサンゼルスに次いで世界で2番目に多い国です。このようなことからタイに親近感を覚える日本人が多いのです。
1-2.キャピタルゲイン
東南アジアの不動産投資全般に言えることですが、タイ不動産投資へは大きなキャピタルゲインを期待して投資がされています。大きなキャピタルゲインは東南アジアでの不動産投資の醍醐味とも言えます。
1-3.固定資産税と相続税
タイでは固定資産税と相続税が掛かりません。不動産投資の利回りに影響するのが固定資産税ですが、タイでは固定資産税が掛からないため、不動産投資の利回りが高くなる傾向にあります。また、タイでは相続税が掛からないため、タイ不動産で相続対策をする富裕層もいます。いずれ日本と比較してもタイは税金のメリットがあるのです。
2.タイの経済指標と不動産指標
海外不動産投資をするのであれば、投資をする国のマクロ情報を確認する必要があります。タイ不動産はこれからの不動産投資に向いているのか、マクロの情報を確認していきましょう。
2-1.人口増加
これから東南アジアは人口ボーナス期を迎えます。これから2010年から20年でASEAN諸国は16.8%も人口が増えると見込まれています。東南アジアの中でも著しく人口が増えるのがカンボジアとフィリピンですが、タイは8.4%の人口増加に留まる見込みです。不動産の需要を観測するのに人口増加は重要な指標ですが、タイの人口増加は東南アジアの中で増加率が低いのが現状です。
2-2.経済成長
東南アジアはエマージングマーケットであるため、経済成長が著しい国が多いのが特徴です。東南アジアの中でタイの経済成長は鈍化しています。シンガポールやマレーシアといった東南アジアでも成熟している市場に近づきつつあるのです。
2-3.インフレーション
海外不動産投資では不動産価格の上昇とともに、その国のインフレーションを投資効果に転嫁できるためインフレーション率は重要な指標です。東南アジアはエマージングマーケットであるため、一般的には継続的にインフレーションする国が多い中で、タイはインフレーションしない国です。経済成長が鈍化していることに伴い、インフレーションも鈍化しています。
2-4.為替(対アメリカドル)
国際基軸通貨であるアメリカドルやユーロに比べ、ASEAN諸国の自国通貨は弱いのが特徴です。ボラティリティも高く、通貨の価格が安定しません。対アメリカドルでタイ・バーツの為替の推移を確認すると、タイ・バーツは高止まりしています。タイの経済規模や経済情勢を鑑みるとこれ以上タイ・バーツが安くなることが考えづらく、タイ不動産投資で為替益を得ることは難しいでしょう。
2-5.不動産指標と不動産相場
実はタイ不動産の不動産相場は、日本とあまり変わりません。タイ・バンコクの中心地の1LDKの価格は3,000万円前後で、期待できる賃料が8万円~10万円です。不動産投資の利回りを算出すると表面利回りで4%程度です。Cap Rateでは2%程度になるため、東京とあまり変わらないということになります。
タイ不動産投資でのメリットは、固定資産税が掛からなかったり、不動産収益に対する税金が安いことが挙げられます。税金が安いため不動産投資の利回りは高くなる傾向にありますが、東南アジアの他国と比較しても不動産投資の利回りが飛びぬけて高いというわけではありません。
3.タイ不動産投資の不安要素
海外不動産投資の中でもタイ不動産投資は不安要素の多い国です。具体的にどのような不安要素があるかを解説します。
3-1.言語の壁(タイ語)
いわずもがな、タイの公用語はタイ語です。タイ不動産の取引をするときには、英語が使えずすべてタイ語で対応する必要があります。不動産登記の書類や不動産売買契約書などのすべてがタイ語で書かれているため、タイ語を理解する必要があります。つまり翻訳や通訳がなければタイ不動産の取引は難しいということです。
3-2.軍事政権下の政局
タイでのクーデターは記憶に新しいですが、タイの政局は不安定です。いつクーデターが起こるかわかりません。当然、政局は不動産価格にも影響することになるので、タイの政治的なイベントにより不動産投資の効果が不透明なものになる可能性があります。
3-3.高齢化社会と格差社会
日本ほど急激ではありませんが、タイでも高齢化社会となっています。高齢化社会になることで、今後タイの生産性は下がることが見込まれています。それに加えて富裕層と貧困層の二極化がすすみ、格差社会となっています。生産性が低く、これからの経済成長が鈍化しているタイでの不動産投資で投資効果を生み出すのは難しくなってきています。
4.仲介人次第のタイ不動産取引の不安要素
これまでタイのマクロ情報やタイ不動産投資の不安要素について解説をしてきましたが、もっとも不安要素があるのがタイ不動産の売買取引です。日本にいながらタイ不動産売買取引をするケースを例に挙げて解説します。
4-1.登記申請委任状の認証
売買契約書や配偶者確認書などの書類が必要ですが、登記申請委任状を外務省か公証役場でアポスティーユを取得した上で、タイ大使館のノータリーが必要です。タイ大使館は東京にしかないため、必ず東京でしか手続きができません。 ちなみにタイ不動産の取引に用いるのはすべて青色のインクで署名する必要があります。
4-2.仲介人を介した不動産取引
日本にいながらタイ不動産を取引するには、タイ国籍の仲介人を介さなければなりません。仲介人といえども弁護士や税理士などの専門士業ではないため、アメリカのエスクロー取引やヨーロッパの弁護士を介した取引のような安心・安全な仕組みはありません。登記申請委任状はタイ国籍の仲介人に委任することになり、登記申請を仲介人が申請することになります。加えて不動産の売買代金もタイの仲介人宛に送金する必要があるため、仲介人の選定を間違えるとトラブルになる可能性が高いです。
4-3.タイへの国際送金
不動産の売買代金をタイの仲介人宛に外貨で送金する必要があります。非居住者がタイの不動産を購入し、登記申請をするためには外貨送金証明書を提出しなければなりません。タイの銀行に外貨で着金すれば、銀行から外貨送金証明書を発行してもらえます。不動産の売買代金をタイの仲介人宛に送金することになるので、仲介人の選定を間違えるとトラブルになる可能性が高いです。
5.まとめ
東南アジアでの不動産投資の中でもブームの火付け役となったのがタイ不動産です。かつては大きなキャピタルゲインを得られる可能性が高かったことから、多くの日本人投資家から人気がありました。タイはこの10年で経済成長を遂げ、不動産価格も高騰しています。いまでは日本や東京と変わらない不動産市況となり、これからタイ不動産に投資をしてもかつてほどの投資効果は望めないでしょう。これからのタイはシンガポールやマレーシアのような東南アジアの中でも安定した経済成長になると見込まれます。
不動産投資という意味では、アメリカのエスクロー取引やヨーロッパの弁護士を介した取引のような安全・安心の仕組みがないため、不安要素を多く含む不動産投資となってしまいます。タイ不動産投資では仲介人の選定が成功のカギとなり、仲介人の選定を誤った場合必ず失敗してしまいます。
また、タイには外国人不動産投資規制があるため、非居住者が取引ができる不動産であるかを事前に確認しなければなりません。基本的にはタイは非居住者が土地を購入することはできません。
タイへの移住を検討されている方やどうしてもタイ不動産投資にチャレンジしたい方でなければ、いまさらタイ不動産に投資するうまみはありません。東南アジアで不動産投資をするのであれば、大きなキャピタルゲインを得られる可能性のあるカンボジアやベトナム、成熟した不動産市場であるシンガポールやマレーシアでの不動産投資をオススメします。
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