本記事では「生命保険でしてはいけないことと学資保険」について解説します。
日本人は生命保険での資産形成が大好きな国民です。生命保険の加入率も80%を超えることからほとんどの方が何かしらの生命保険に加入していることでしょう。
生命保険の中には資産形成の目的や保障の目的の名前が付いている商品がたくさんあります。年金保険、がん保険、就労不能保険などたくさんありますが、教育費の積み立てを目的として学資保険に加入している方も多いのではないでしょうか。 今回は生命保険に加入するときに絶対にしてはいけないこととオススメできない学資保険について解説します。
1.生命保険で資産形成するのであれば絶対にしてはいけないこと
みなさん、生命保険に加入したときのことを思い出してください。保険の窓口のような保険代 理店で加入された方、知り合いの紹介のセールスパーソンから加入された方、インターネット経由で加入された方など生命保険の加入の経緯は様々です。あまりにも身近である生命保険ですが、立派な金融商品であり、これからの資産形成のためには大切な役割を担うものです。
そんな生命保険ですが、資産形成のために生命保険に加入するのであれば、絶対にしてはいけないことがあります。
1.つき合いで生命保険に加入
加入した、していないに関わらず、生命保険会社のセールスパーソンを知人から紹介された経験はほとんどの方にあるのではないでしょうか。知人の顔をたてるためにも掛け捨てではない資産性のある商品であれば損はしないし、つき合いでセールスパーソンから加入された方も多くいらっしゃいます。生命保険会社の保険料の違いは予定事業比率が関わります。つまり、セールスパーソンへの報酬が高ければ高いほど、商品の保険料が高くなり、利回りが下がるということです。同じような商品で利回りが高い商品は他社であるはずです。つき合いでみらいに受け取る保険金が少なくなってもいいのでしょうか。ただでさえ生命保険はローリスクローリターンの商品です。生命保険で資産形成をしたいのであればつき合いで生命保険に加入してはいけません。
2.支払が継続できない無理がある保険料
生命保険は支払期間の途中で解約をすると支払った保険料よりも受け取る解約返戻金が下回ってしまうケースがほとんどです。セールスパーソンの中には無理な保険料の商品に払えるうちに払いましょうといった提案をするようなセールスパーソンも多く見受けます。生命保険に加入する前に保険料に無理はなく継続的に支払期間中は支払えるのか、もし緊急で支払えなくなっても元本を回収できるかなどをよく考えて生命保険に加入しなければなりません。
3.支払期間が長期間にわたる生命保険
生命保険は支払期間が長期にわたる商品が一般的です。20~30年にわたり払い続けるといった契約が一般的で、短くても10年にわたり払い続ける商品になります。とはいえ、長期間になればなるほど、そのときどきの生活環境や報酬は変わってしまいます。報酬が下がった場合には支払いを続けられなくなる可能性もあります。このようなリスクを回避するためにも、できる限り支払期間は短くすることをオススメします。資産形成のためにはじめた生命保険で元本が減ることは本末転倒です。生命保険の商品の中には3年や5年、10年といった支払期間の商品もあるので検討してみましょう。
2.オススメできない学資保険の商品設計
団塊の世代には学資保険が大流行しました。親から学資保険を勧められて加入した方も少なくないはずです。学資保険の主な目的はその名の通り教育資金の積み立てです。教育資金の積立と言えども学資保険は立派な生命保険です。それでは、学資保険の商品設計を解説します。
生命保険契約には3人の人物が登場します。契約者、被保険者、受取人です。学資保険の契約者は世帯主であることがほとんどで、保険料を支払うのも世帯主であることがほとんどです。教育資金は世帯主が支払うことになるので、保険金の受取人は世帯主となります。
ここで問題提起したいのは、被保険者が子どもになることです。学資保険とはいえ立派な生命保険なので、被保険者が子どもの生命保険は、もし子どもに万が一があった場合に保険金が支払われる生命保険であることをご存じですか。学資保険の場合、契約者である世帯主に万が一があった場合にはその後の保険料の支払いが免除されます。冷静に考えると生命保険でリスクを回避しなければならないのは稼ぎ頭である世帯主に万が一が起こったケースです。子どもに万が一が起こり、保険金を手にして喜ぶ親はいません。
学資保険は無事支払期間を終えると満期保険金を受け取ることができます。学資保険の中には子どもの教育イベントに合わせてお祝い金が給付される学資保険もあります。お祝い金が給付されるのは商品設計の問題で、満期保険金の中から前倒しで給付されているに過ぎません。学資保険とは子どもを被保険者とした支払期間が満了したら満期保険金を受け取れる養老保険です。ただ教育資金の積み立てを目的として生命保険に加入するのであれば子どもを被保険者とする必要はあるのでしょうか。
3.生命保険で積み立てる目的とリスク回避
生命保険会社は消費者にわかりやすいように商品に資産形成の目的や保障内容の名前を付けています。生命保険会社が勝手にその目的や保証のために商品設計をしたものです。しかし生命保険はもっと単純なもので、すべてが終身保険、養老保険、定期保険の仕組みを組み合わせたものに過ぎません。詳しくは以下の記事をご覧ください。
学資保険を例に挙げて考えてみましょう。学資保険の目的は、教育資金の積み立てです。家族の中でもっともリスクが高いのは世帯主です。生命保険を活用するもっとも大きなメリットはリスクを回避しながら資産形成ができることです。この場合でいうと万が一のリスク回避のために世帯主に生命保険を掛け、子どもの大学入学に合わせて教育資金が支払われれば目的は達成します。そうであるならば、契約者を世帯主、被保険者を世帯主、死亡保険金受取人を配偶者の生命保険に加入すれば目的を達成することができます。効果は学資保険とほとんど一緒です。
極論を言うと教育資金の積み立てだけが目的なのであれば、学資保険に加入する必要はありません。NISAを活用した方が投資効果が高い場合もありますし、そもそも銀行口座に積み立てても大して生命保険と投資効果は変わりません。
生命保険に加入するのであれば、以下のポイントを事前によく考えた上で加入をしましょう。
①生命保険でなければならない理由
②資産形成や保証の目的
③生命保険の対象なる被保険者
4.まとめ
そもそも生命保険の主たる目的は、万が一の保障です。資産形成という観点ではローリスクローリターンの金融商品です。生命保険の投資効果は低いにも関わらず、だれかの顔をたてるとか、つき合いで加入して投資効果をさらに下げることは本末転倒です。
また、生命保険会社の商品には資産形成の目的や保障内容の名前が付いた商品がたくさんあります。学資保険の例を見ればわかる通り、あくまでも消費者にわかりやすくするために名前を付けているだけで、生命保険の本来の特徴や目的に目を向けずに加入するのはオススメできません。
ほとんどの方が生命保険に加入しているでしょうが、いま一度加入している生命保険を見直してみましょう。先程あげたポイントである生命保険でなければならない理由と資産形成や保障内容の目的、だれに保険を掛けるかを整理しましょう。整理した結果、無駄なものは解約する、契約内容を変更することで本来の目的に合った生命保険となるでしょう。
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