本記事では「節税目的のアメリカ不動産を個人から法人へ所有権移転するリスク」について解説します。
2020年の税制改正により、アメリカ不動産を活用した所得税、住民税の節税スキームが封じ込められました。2021年以降は個人で節税が不可能になりましたが、あくまでも個人を対象とした税制改正であったため、節税目的で購入したアメリカ不動産の所有権を個人から法人へ移転するニーズが高まっています。
法人でアメリカ不動産を所有することは、名義を変えて法人税の節税になるばかりではなく、リスクが伴います。所有権移転に必要な手続きやリスクについて解説します。
1.アメリカ不動産の所有権移転に必要な手続き
法人でアメリカ不動産を所有して節税するのであれば、アメリカで日本法人の支店登記が必要になります。よくアメリカ不動産のリスクを切り分けるために日本法人の子会社としてLLCを設立するスキームがありますが、日本法人の子会社であるLLCでアメリカ不動産を所有した場合は減価償却を計上することができません。
また、アメリカの州にまたがりアメリカ不動産を所有する場合は各州に支店登記をする必要がありますのでご注意ください。 支店登記に掛かる費用は、$1,000~$3,000/州程度です。
個人から法人に所有権を移転する方法は数種類あります。日本のアメリカ不動産販売会社の中には法外な手数料を請求する不動産会社もありますのでご注意ください。
顧問の税理士やCPAとご相談の上、所有権移転の手法は選択されることをオススメします。
2.日本法人でアメリカ不動産を所有するリスク
アメリカ不動産を個人から法人に所有権を移転すると法人で節税できるようになりますが、リスクや追加の費用が発生します。
2-1.アメリカ不動産で起こるすべてのリスクの責任
アメリカ不動産で起こるすべてのリスクを日本法人で抱えることになります。自然災害による不動産の損壊や不動産が原因で起こる入居者や周辺住民からの損害賠償請求まですべての請求に対して日本法人が支払う必要があります。節税目的で所有権移転をするニーズがある会社は利益がでている場合がほとんどですが、トラブルにより利益が少なくなるどころか、赤字になってしまう可能性もあります。
損害保険(火災保険)の補償内容や補償金額については、日本法人のリスクヘッジができるくらい十分なものに加入しましょう。
2-2.個人から法人への所有権移転に掛かる手数料
アメリカ不動産を個人から法人へ所有権の移転をする場合、少なからず手数料が掛かります。個人で所有したままであれば掛からない費用が掛かるため、アメリカ不動産売却のときに期待できるキャピタルゲインが少なくなる可能性が高いでしょう。
日本のアメリカ不動産販売会社の中には法外な手数料を請求する不動産会社もありますので、お気をつけください。
2-3.アメリカでの税務申告費用
アメリカ不動産の賃貸管理をしていれば必ずIRSに税務申告をしなければなりません。一般的にはCPAに依頼して税務申告をしているでしょうが、個人の税務申告と法人の税務申告では法人の税務申告の方が会計コストは高くなります。個人の場合では$1,000前後の費用ですが、法人の場合は最低でも$3,000程度は掛かるでしょう。
アメリカ不動産を個人から法人へ所有権を移転する移転価格にも注意が必要です。簿価で移転するなんてもってのほかです。客観的に税務当局に主張ができる移転価格に設定するようにしましょう。
3.まとめ
アメリカ不動産を個人から法人に所有権を移転する場合は注意すべきポイントやリスクを理解した上で取り組まれることをオススメします。節税ができるということだけで所有権移転してしまうのは危険です。
個人から法人への移転価格については、税務調査で指摘される最大のポイントになります。税理士やCPAをはじめとした専門家に相談をして移転価格を設定しましょう。また、アメリカ不動産のリスクを最小限にするためにできる限りリスクヘッジの対策をしてから所有権移転されることをオススメします。
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