アメリカに銀行口座を持っていても、日本からその口座を管理したり、アメリカ国内へ送金したりすることを面倒に感じている方は多いのではないでしょうか。特に日本在住のアメリカ不動産オーナーの場合、インターネットバンキングの本人認証、米国携帯電話番号を使ったSMS認証、英語による銀行への問い合わせなど、アメリカ国内に住んでいる人に比べて銀行サービスを利用しにくいケースがあります。
そこで、利用できると便利なのがアメリカの送金サービス「Zelle(ゼル)」です。Zelleを利用すると、相手の銀行口座番号を毎回入力することなく、登録されたメールアドレスや米国携帯電話番号を使って、アメリカの銀行口座間で送金できます。
特に米国携帯電話番号を持っていない日本人にとって重要なのが、金融機関によってはメールアドレスを使ってZelleに登録できることです。一方で、日本人やアメリカ非居住者であれば誰でも簡単に利用できるわけではありません。
本記事では、最新のZelleの仕組みや利用条件、送金上限、注意点に加えて、アメリカ不動産オーナーがどのように活用できるのかを解説します。
1.Zelleとは?日本人でも利用できる?
Zelleは、アメリカ国内の銀行口座間で資金を送受金できるサービスです。日本のキャッシュレス決済サービスにも似ていますが、Zelleの特徴は、対応する銀行やCredit Union(信用組合)の銀行口座と直接連携していることです。
2026年現在、Zelleはアメリカの2,400を超える銀行・Credit Unionで提供されています。送金相手もZelleへの登録を済ませていれば、通常は短時間で資金が相手の銀行口座へ入金されます。また、多くの金融機関ではZelleによる送受金に手数料を設定していないため、アメリカの銀行口座から少額の資金を国内送金する場合には、非常に便利な選択肢のひとつです。
2025年からZelle単体アプリでの送受金は終了
以前は、銀行とは別にZelleの専用アプリを登録して利用する方法がありました。しかし、この仕組みは変更され、2025年4月1日以降、Zelleのスタンドアロンアプリから資金を送受金する機能は終了しました。
現在は原則として、Zelleに対応している銀行やCredit UnionのMobile BankingまたはOnline Bankingから登録・利用します。したがって、Zelleを使いたい場合に最初に確認すべきことは、「自分が持っているアメリカの銀行口座がZelleに対応しているか」という点です。
対応している場合、銀行アプリやOnline Bankingの「Pay」「Transfer」などのメニューからZelleを利用できるケースが一般的です。
Zelleはメールアドレスでも登録できる
日本人にとって重要なのがZelleへの登録方法です。Zelleでは一般的に、以下のいずれかを銀行口座と紐づけて利用します。
- メールアドレス
- 米国の携帯電話番号
つまり、米国の携帯電話番号を持っていなくても、利用する金融機関が対応していればメールアドレスを使ってZelleに登録できる可能性があります。これは日本在住のアメリカ不動産オーナーにとって大きなメリットです。
一方、携帯電話番号を利用する場合は、原則として米国の携帯電話番号が必要です。国際電話番号や固定電話などは利用できない場合があります。米国携帯電話番号を維持していない日本人の場合は、まず利用している銀行でメールアドレスによるZelle登録が可能か確認してみましょう。
SSNがない日本人でもZelleを使える?
日本人にとってもうひとつの問題が、SSN(Social Security Number:社会保障番号)です。Zelleそのものが共通の利用条件として「SSNが必須」と定めているわけではありません。
基本的には、対象となるアメリカ国内の銀行口座を持ち、その金融機関を通じてメールアドレスまたは米国携帯電話番号を登録して利用する仕組みです。一方で、実務上問題になるのが銀行側の本人確認です。
銀行によってはOnline Bankingへの登録や各種手続きの際にSSNやTIN(Taxpayer Identification Number)などを利用した本人確認を求められることがあります。そのため、「SSNがない=Zelleを利用できない」と一律に判断することはできません。
日本居住者やアメリカ非居住者の場合は、銀行口座の種類、登録住所、本人確認方法、Online Bankingの利用状況などによって利用可否が異なる可能性があります。最終的には、自分が口座を持つ金融機関の条件を確認することが重要です。
2.Zelleの登録方法・送金方法と送金上限
Zelleの登録方法
Zelleへの登録方法は銀行によって多少異なりますが、基本的な流れはシンプルです。まず、利用している銀行のMobile BankingまたはOnline Bankingへログインし、「Pay」「Transfer」「Send Money」などのメニューからZelleを選択します。
利用規約に同意した後、利用するメールアドレスまたは米国携帯電話番号を登録し、Zelleと銀行口座を紐づけます。
Zelleで送金する方法
送金するときは、送金相手がZelleに登録しているメールアドレスまたは米国携帯電話番号を指定し、送金額を入力して内容を確認します。Zelleを利用する大きなメリットのひとつは、送金相手の銀行口座番号やRouting Numberを毎回入力する必要がないことです。
相手がすでにZelleへ登録していれば、通常は短時間で資金が移動します。日本からアメリカの銀行口座を操作する場合、Wire Transfer(ワイヤートランスファー)では送金先銀行の情報入力や本人認証などが必要になることがあります。
Zelleが利用できる環境を整えておけば、米国内の少額送金を大幅に簡略化できます。
Zelleには送金上限がある
Zelleを利用するときに必ず確認しておきたいのが送金上限です。Zelleには、すべての利用者に共通した一律の送金上限が設定されているわけではありません。
利用する銀行や口座、Zelleの利用期間、送金相手、過去の取引状況などによって送金可能額が異なります。例えば一部の大手銀行では、個人口座について1日数千ドル、30日間で数万ドル程度の上限が設定されていますが、これはすべての銀行に共通する金額ではありません。
また、新規登録直後は通常より低い限度額が設定される場合もあります。そのため、「Zelleなら○○ドルまで送金できる」と一律に考えず、実際に送金する前に自分のOnline Bankingに表示される送金可能額を確認することをおすすめします。
3.Zelleを利用するときの注意点
法人口座でもZelleを利用できる場合がある
以前はZelleを「個人間送金サービス」と説明することが一般的でした。しかし現在は、一部の銀行でSmall Business AccountにもZelleが提供されています。そのため、「法人口座ではZelleを利用できない」という説明は現在では正確ではありません。
ただし、すべての銀行、すべてのBusiness AccountがZelleに対応しているわけではありません。法人名義の銀行口座から利用したい場合は、自分の銀行・口座タイプがZelleに対応しているか確認してください。
誤送金・詐欺には注意が必要
Zelleは便利なサービスですが、送金するときは相手を慎重に確認する必要があります。すでにZelleへ登録している相手へ送金した場合、通常は短時間で銀行口座間の資金移動が完了するため、間違った相手に送金してしまった場合、簡単には取り消せないことがあります。
Zelleは、家族や友人、取引関係者など信頼できる相手への送金を前提として利用することが重要です。初めて送金する相手の場合は、相手の氏名、メールアドレス、携帯電話番号、Zelle上で表示される登録名、送金金額などを十分に確認してください。
また、不動産購入資金などの高額な資金をZelleで送金することはおすすめしません。
4.アメリカ不動産オーナーはZelleをどう活用できる?
アメリカ不動産を所有していると、不動産管理会社との少額精算、修繕費、立替金の返金、業者への少額支払い、オーナー口座への返金など、現地でさまざまな資金移動が発生します。
日本在住のオーナーにとって、アメリカ国内のWire Transferは意外に手間がかかります。海外からOnline Bankingにアクセスすると本人認証が必要になったり、送金先を新規登録した際に追加認証が必要になったりするケースもあります。
その点、Zelleを利用できる銀行口座を持っており、送金先もZelleを利用していれば、少額の資金移動は非常に簡単になります。アメリカに銀行口座を持つ日本人にとって、Zelleが利用できるメリットは非常に大きいといえるでしょう。
管理会社へ必要以上の資金を預けない
アメリカの不動産管理会社では、オーナーから預かった資金をTrust Account(トラストアカウント)などで管理し、修繕費などの支払いに備えて一定額をReserveとして保有することがあります。一定のReserveは物件管理上必要ですが、必要以上に多額の資金を管理会社へ預けておく必要はありません。
重要なのは、「誰が、どの口座で、いくらのオーナー資金を管理しているのか」をオーナー自身が把握しておくことです。Zelleなどを利用して必要なときに少額資金を迅速に移動できる環境を整えておけば、管理会社に必要以上の資金を預け続けなくても対応できるケースがあります。
ただし、管理会社への送金方法はZelleだけではありません。物件管理会社によってはOwner PortalからACH(Automated Clearing House)で送金できたり、Wire Transferを指定していたりします。金額や用途に応じて使い分けることが重要です。
Zelle・ACH・Wire Transferの違い
アメリカ国内の代表的な資金移動方法には、Zelle、ACH、Wire Transferがあります。それぞれ特徴が異なるため、送金金額や用途によって使い分けましょう。
| 送金方法 | 主な用途 | スピード | 手数料 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Zelle | 少額の国内送金・精算 | 通常は速い | 多くの銀行で無料 | メールアドレス等で送金可能 |
| ACH | 通常の銀行間送金・定期支払い | 即時~数営業日の場合あり | 無料または低額の場合が多い | 管理費などの定期的な支払いにも便利 |
| Wire Transfer | 高額資金の移動 | 比較的速い | 有料の場合が多い | 高額送金や不動産取引などで利用 |
※手数料、処理時間、送金上限は金融機関や口座の種類、利用状況によって異なります。

不動産管理に伴う数百ドルから数千ドル程度の資金移動であれば、Zelleが便利なケースがあります。一方、物件購入資金やEscrowへの高額送金などにはWire Transferを利用するのが一般的です。定期的な管理費などの支払いであればACHが適しているケースもあります。
送金方法そのものに優劣があるのではなく、金額と目的に合わせて選択することが重要です。
5.まとめ|日本人でもZelleが利用できれば米国内送金はかなり便利
Zelleは、アメリカの銀行口座間で資金を迅速に送受金できる便利なサービスです。特にアメリカに銀行口座を持つ日本人にとって、毎回Wire Transferを設定することなく、メールアドレスなどを利用して米国内送金ができるメリットは大きいでしょう。
一方、日本人・アメリカ非居住者の場合は、以下の点を確認する必要があります。
- 利用している銀行がZelleに対応しているか
- Online Bankingを利用できるか
- メールアドレスでZelle登録できるか
- 銀行側の本人確認を完了できるか
- 自分の送金限度額はいくらか
特に重要なのは、「SSNがないから使えない」「米国携帯電話番号がないから使えない」と一律に判断しないことです。メールアドレスで登録できる場合もあり、ZelleそのものがSSNを共通の必須条件としているわけでもありません。
アメリカの銀行口座を持っている方は、まず自分のMobile BankingやOnline BankingにZelleのメニューがあるか確認してみるとよいでしょう。Zelleが利用できれば、アメリカ不動産の所有・管理に伴う米国内の少額送金をかなり効率化できる可能性があります。
一方、Zelle、ACH、Wire Transferのどれを使うか以上に重要なのは、アメリカ国内にある自分の資金を適切に把握し、管理できる体制を作ることです。
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